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自主公演『かむなぎやわ』製作ノート

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来る10月27日(土)アクティひかわにて、ゆにわ自主公演『かむなぎやわ』を開催します。

即興演奏と語りと映像を組み合わせた音楽舞台作品とでも言った内容ですが、そもそものきっかけは先のアルバム『ゆにわ』の製作にあたって、何か民話の語りに音を付けた音絵巻のようなものを収録しようとしたのが始まりでした。

当初、富山の民話『十六人谷』をモチーフにした自然と人との交流を描くつもりが構想が長大になり、イントロだけで20分近くの作品になりました。(アルバムには『おとのたび』として収録しています。)これでは中途半端だからと、アルバムではなく、独立した語り舞台にしようと思いたち、更に出雲地方で似た民話はないのかとリサーチをはじめると、実に色々なことが絡まってきました。

そのなかで、ふいに引っかかってきたのが『かむなぎ(神巫、神凪とも書く)』と呼ばれる、いわゆるシャーマン集団の存在です。

律令国家成立以前の出雲地方(つまり古事記編纂よりも前)に、出雲地方を中心に活躍したとも言われる彼らは、それぞれがシャーマニズムを行い、森羅万象に宿る精気を『カミ』と呼び、そのメッセージや物語を民衆に語って聞かせたとも言われています。それぞれの方法でカミに仕え、聖地に歌舞音曲を捧げて神々に奉仕したとも言われます。

いずれにしても、彼らの行った祈りの形は、ごく自然崇拝的なアニミズムの領域であると同時に、支配構造、権力構造の入り込む以前の村落共同体の中で、自然と折り合いをつけつつより良く生きようとする人々のニーズに応えるものであったのでしょう。

そうして、もうひとつ引っかかって来たのが、古代の婚姻制度でした。

多くの方が認知しているように、例えば平安時代の貴族たちはいわゆる『夜這い』を常とした恋愛を行っていました。特定の相手と一生共にするという貞操観念などどこ吹く風、実におおらかな自由恋愛の形態を貴族などの高位の人たちが行っていたのです。
そうなれば当然、一般民衆においても、同様の習慣があったと思われます。

わざわざ、この問題を掘り下げた理由は、いわゆる古事記などの記紀神話には、男女の話、色事についての記述が多くみられるのに、この点について明るく語っているものがあまりないという点に疑問を抱いたからです。こと日本人は、性に関する問題についておおっぴらに語る事を良しとしません。そのくせ、気心知れた仲間同士や、女子会などでは、とても盛り上がる話題であったりします。

ところで、古事記の物語をこの視点からあらためて読み直してみると、実に気になる事が多く出てきました。たとえば国産み神話である『みとのまぐわい』は、モロな性描写がある性指南の章ともとれる内容ですが、女であるイザナミから声をかける(『誘う』)と奇形児ができるとか、ちょっと男尊女卑の匂いがすると多くの研究者の方が指摘しています。

古事記は、渡来系の人々が律令制度を持ち込んで作った大和朝廷の正統性を補強するために編纂された文献です(あえて言い切ります)となると、当然、ここに記載された物語は、渡来系文化の影響によって改ざんされている可能性が多いにあるでしょう。
そこで『かむなぎ』であったら、これらの祖型である物語を、どのように語ったのだろう?と考えたのが第二の視点でした。

文化の実相は、単に遺物として残っているものを調べるだけでなく、人の習俗や感覚、関心事の中にあるものを見ていかないと、リアルなものになってこないと考えます。

学術的にこうだとか、何何大学の教授が言うのだから、という事を当てにするのは今の文化です。
ですが、古代社会に於いて、人が集って聞きたいと思う話は、もっと楽しく、誰もが共感できるような物語であったと思われます。それはすなわち、今も昔も男と女の物語でしょう。

そんなとりとめもない妄想から、今回の舞台を企画しました。
まだまだ妄想の域を出るものではありませんが、さらにディープなミッションについては興味のある方は直接聞いて下さい。舞台の本編では、そうした内容を加味しつつ、オムニバス形式で構成しています。

今回はまず製作ノートとして、かいつまんだ内容を書いてみました。
今後、本編についての解説や進行状況など、折をみて書いていくつもりです。
乞うご期待!
by yuniwauta | 2012-08-28 01:35 | おとだま紀行

ゆにわ主宰          歌島のひとりごと 


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