ゆにわのうたひ

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セミ・セッション

c0037400_22362469.jpgもうひと月あまり、ここも日中はひっきりなしの蝉しぐれだ。
ここのメインはアブラゼミで、時々ヒグラシやツクツクボウシやミンミンゼミも鳴くが、割合は少ない。
庭の木にはかなりの数いるようで、朝から時には深夜まで鳴き通しだったりする。
昨夜など、網戸の隙間から一時間おきくらいに蝉が迷い込んできてはジージー鳴いてにぎやかだった。

この家で一番蝉が賑やかなところにピアノを置いている。
ここは夕方になると障子に木の葉の影が映って美しいので、気に入っている。
いつも仕事のちょっとした合間をぬってはピアノに向かっているのだが、今日は面白かった。

ふと浮かんだテーマを元に、しばし即興演奏に入る。
湖面を嘗めるように滑空しながら、ふわりと飛翔する者の目で世界を見ているようなビジョンが浮かぶ。
しかし、何かの悲しみを抱えている。
生き物なのか?魂なのか?
テーマに隠れていた情感が次第に明確になり、メロディーの音域がしだいに高くなってゆく。
高く.....高く.......

ところが、途中からピアノの音が聞こえなくなった。
蝉たちが一斉にスフォルツァンドの大合唱をしている。
この声があまりに大きくて、ピアノの音が聞こえなくなってしまったのだ....

........そういえば、彼らは自分の声がより大きく聞こえなくてはならないので、周りで鳴く仲間よりも大きな声で鳴こうとする習性があるらしい。
かのファーブル先生も庭に集まってきた蝉があまりにうるさいので、何か大きな音を出して彼らを驚かせばいなくなるだろうと考え、小型の大砲を持ってきてドーンと打ち鳴らした。
だが、結果はその期待に反し、蝉たちは大砲にも負けじと更に大きな声で鳴きまくったのだそうだ.....

仕方なく手を止めると、次第に鳴き声は小さくなって落ち着いてきた。
ふむ、ならばこちらの音量を加減して、蝉とセッションしてみたらどうか?

結果は上々。
静寂を奏でるパッセージの時には、ぽつりぽつりと程よいアンビエントと化し..
少しテンポが上がり、音量が上がって来るにつれ次々と鳴き始め、次第に彼らも声高になってくる....
いつしか慣れて来て、ある瞬間から彼らの歌とピアノが寄り添うようにシンクロしてくる。
程よい一体感。
自然に音塊は収束し、徐々にフェードアウト。

図らずもアブラゼミの声は、フレーズ的でなく一定のパルス音(持続音)なので、一種のドローンとして作用してくる。
タンプーラの持続音のように、時間の感覚が溶けてゆく.....

ああ、ありがたや。
仕事の合間の、ふとしたひと時に感謝であります。
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by yuniwauta | 2005-08-12 22:33 | おとだま紀行

ゆにわ主宰          歌島のひとりごと 


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