ゆにわのうたひ

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0の概念

0(ゼロ)という数字なんて普段は当たり前に使っている。
しかし、この単純な数字は6世紀頃になってようやくインドで発見されたという事だ。
それまではこういう概念はなかったらしい。
確かに実生活としては食べ物や道具類など「有限で目に見えるもの」を取り扱うことで事足りたのだから。こうした概念は必要なかったのかもしれない。
いにしえの日本人は数字は2までしか数えなかったという話しだ。
3以上は「たくさん」で包括され、「みっつ」というのは「満つ」というのが語源なのだそうだ。

ギリシャ時代にも数学は発展していたが、それまでの数学はあくまで「有」の世界の計算しかなかった。ゼロの概念がアラビアを通じて西洋世界に紹介されてから、十進法やマイナスの概念等が次々と発明され、近代数学が誕生、それ以降自然科学やその他の技術は大きな発展を遂げることになったという訳だ。

では「0(ゼロ)」というのは一体何なのだろう?
「有」に対する「無」?
数学的にはそれでもよろしい。
でもその発祥を辿ると、それは決して何もない「無」ではなさそうだ。

ゼロは元々サンスクリット語でShunya(シューニャ=空)という。これがアラビアでsifr(スィフル=空「から」)となりラテン語でzephirumと転じて最終的にzeroと呼ばれるようになった。
この概念をはじめて成文化したのはBrahmaguptaというインドの天文学者だったそうだ。

この概念の元になったのは間違いなく仏教的な概念として現れる「空」だと思う。
「色即是空 空即是色」の「空」だ。
「空」は「有」の対極としての「無」とは違う、「無」でもなく「有」でもない存在であり、またそこから宇宙の全てが産まれ出る根源でもある。

「空」については様々な語彙で語られているけれど、語り得ないものを語るのは至難の業だし、理解しようとすればするほど迷宮にはまっていくような感じもする。
「色即是空 空即是色」
色とは物質やこの世の万象の事だ。
全ては「空」であり、「空」からこの世の全てが産まれる....

「自我に執着する見解を破り、世間を空として観察せよ」

「空虚なる部屋に入って心を鎮めよ」

いずれも空に至るためのメソッドを解いている言葉だが、これは瞑想の事だ。
この言葉の意味が本当に分かったら、僕もブッダと同じ意識になれるかもしれない。

インドで産まれた「空」の概念は、数字となって西洋世界の中で受胎し、現在の科学技術文明を産みだした。
図らずも「空即是色」を体現したのだ。
そして、今、文明は行き詰まりを感じ始めている。
誰もが「このままじゃいけない」という漠然とした感覚を多かれ少なかれ持っている。

これは今までの文明の発展の仕方が「片手落ち」になっていたからに違いない。
「空即是色」ばかりで、どんどん産み出すばかり。

今必要なのはもう一つの「色即是空」という概念なのではないだろうか?
物があるから幸せとか、金があるから幸せなのではなくて
こうした物証はいずれは流れて消えるもの蜃気楼に過ぎないのだという事を、産み出す事と同じレベルで知るべきなのではないか?

下らない喩えだけれど、東京から出雲に越してくる時お金がなくて、フリー便という移動に一ヶ月以上かかる引っ越し便を頼んだ。
結果、約一ヶ月間家財道具が何もない状態で過ごす事になった。
お金も底をついてきて、預金口座には旅費を抜くと5千円くらいしか残っていなかった。
図らずも、自分が今まで努力して得てきた楽器や家具、本、服、皆一切合切はぎ取られたあとのようで、最後には身につけているわずかな服と、猫と、一枚の毛布だけになった。
この時一瞬 「持てる物全てを手放す」という事の意味をバーチャルに体験したように思う。
もちろん心や体まで手放せた訳ではないけれど......

この時に、今まで感じた事のない「自由」を感じた。
体がどこまでもどこまでも広がっていくような......

このときの感覚が忘れられず、結局一ヶ月後に新しい家に到着した70箱の段ボールの中身はほとんど手放してしまった。
必要最低限なものだけ残して、後はすべて手放してしまったのだ。
残ったものもいつでも手放せるように、執着しないようにといつも心に念じている。

それまではとにかく集めて集めて、何でもかんでもかき集める人生だった。
今は手放す手放す、残った必要最低限を更に軽くしようと頑張っている。

いつか心の内の全てをも、手放す事ができたら.....
一体どんな「自由」が感じられるのだろうか?
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by yuniwauta | 2005-02-20 21:34 | 雑記帳

ゆにわ主宰          歌島のひとりごと 


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