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カテゴリ:ヴィーナ( 3 )

ヴィーナとは (2)

先にも話したように、ヴィーナという呼称はインドでは弦楽器全般にあてられた名前でもあった。今でも、数年前ライ・クーダーと競演してグラミー賞を受賞したヴィシュワ・モハン・バットはギタールという、ギターを床置きしてスライドギターのように演奏する楽器の演奏家だが、彼が一躍この楽器を有名にしたことからこの楽器はモハン・ヴィーナと呼ばれていたりする。

インドでは演奏家がどんどん自分で楽器をカスタマイズして、新しい楽器を作ったりするので、他にもヴィーナの名のつく楽器はたくさんあると思われるが、一般的にヴィーナというと次の4種類がある。
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まずはルードラ・ヴィーナ(写真はAsad Ali Khan)その名の通りシヴァの作った楽器の形すのままで、二つのひょうたん(もしくはカボチャ)に竹か木の筒が指板として取り付けられる。
フレットは木製でこの竹に蜜蝋で固定される。

音は低く重厚で、主にドゥルパッドという様式で演奏される。シタールのようなきらびやかな音色や派手な技巧などはないけれど、瞑想的で深い音楽が多く、僕は大好きな楽器のひとつだ。
これ自体はあまりポピュラーな楽器ではないけれど、神聖視されているらしい。
写真のように片一方のひょうたんを肩に担ぐか、膝にのせて演奏される。いつか手にしたい楽器だ。

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次はヴィチトラ・ヴィーナ。
先のルードラ・ヴィーナを床置きしただけのようだが、こちらはフレットがない。
左手に石や角等を持って、これで音程を決める。いわゆるハワイアン等で使われるペダル・スティール(スライド・ギター)のようなものだ。

しかし演奏するにはかなり微妙なコントロールが要求される。なぜならほんの少し弦を押し込むだけで音程が変わってしまうからだ、なのでこの楽器の名手は少ないと言われている。
写真はL.A.Khan Krishan。

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上の二つは北インドの楽器だが、ここからは南の楽器。ヴィチトラ・ヴィーナの南版がこのチトラ・ヴィーナ(ゴットゥヴァーディヤム)になる。形が微妙に違うのと、北ではひょうたんが主に共鳴部として使われるのに対し、南ではジャック・ウッドという木をくりぬいて作られている。
南インドの楽器には珍しく、この楽器にはタラブと呼ばれる共鳴弦が張られている。これが主弦の演奏に合わせて共鳴し、キラキラしたような独特の音色効果を作っている。
写真はN.Ravikiran。

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そして最後がサラスヴァティ・ヴィーナ、僕が今持っているのはこのタイプだ。
先のゴットゥヴァーディヤムと同じ形状だが、これには真鍮製のフレットが付いている。フレットの数は24個、これも蜜蝋で指板に固定されている。
4本のメロディー弦とフレットの横に3本のチカリ弦というリズムやドローンを奏するための複弦がある。(写真はVeena Dhanammal)

ボディーはやはりジャック・ウッドという木材で作られていて共鳴部と指板が分かれているものを別に2ピース・ヴィーナというが、ヴィーナの上質なものは一本の丸太から削りだされて作られる、これはエーカンダ・ヴィーナと呼ばれる。

奏者の左側に楽器を支えるように丸い布にくるまれた部分があるが、トゥンバと呼ばれる第二の共鳴部でここはひょうたんで作られる。(近年はグラスファイバー製が多い)

右手の人差し指と中指には、シタール等でも使われる鉄製の爪(ミズラーブ)を付けるが、シタールと違って弦を往復して弾く奏法がないのでミズラーブは爪に平行して取り付けられる(琴の爪と同じ向き)、3本のチカリ弦はターラのリズム等を強調したりするのに主に小指で演奏される。

弦を支えるブリッジの部分はジャワリと呼ばれ、日本の琵琶などで「サワリ」と呼ばれている部分に等しい。この部分は微妙な角度を付けて弦と接するよう調整されていて、弦の振動によって独特の倍音を産む。いわゆる「ビヨ〜ン」という音の成分を作り出すところだ。
インド楽器はこのジャワリが大きな特徴といってもいい。
音色決定にとても重要なパーツだが、調整は熟練を要する。一度削り過ぎたらパーツの取り寄せが大変なので、僕はここに糸を取り付けてジャワリ効果を付けている。これはタンブーラの調整法だが、同じように使える。

南インドのヴィーナにはヘッドの部分に龍の頭が付いている。インドネシア、中国、日本等では、こうした龍の意匠は珍しくないが、インドでは意外と珍しい。
一説によると「演奏者を外界の邪気から守るため」とも言われているが、はっきりしたことは分からない。しかし、あるインドの詩人が

「その弦楽器を
見て、触れ、聞けば
汝、バラモンを殺せども
自由を得べし」
(『音の神秘』ハズラト・イナーヤト・ハーン著/土取利行訳より抜粋)

と歌っていることからも分かるように、ヴィーナという楽器は神聖なものとして大切にされてきたもののようだ。

そんな事とはつゆ知らず、ただ好きになって始めてしまった。
僕のヴィーナ修行は、まだ始まったばかりだ。

(使用した写真で、肖像権の問題がある場合は差し替えますので、ご連絡下さい)
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by yuniwauta | 2005-02-12 22:03 | ヴィーナ

ヴィーナとは (1)

ヴィーナ自体は日本では馴染みのない楽器だが、「琵琶」という形で日本に根付いている。

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弁天様が持っている楽器、というと分かりやすいかもしれない。
この弁財天の持っているのは琵琶だが、この女神の原型はインドのサラスバティーという女神で、サラスバティーは手にヴィーナを持った姿で描かれる。

インド楽器で有名なのはシタールだが、これは今から約700年前に宮廷音楽家のアミールフスローという人がペルシャの弦楽器「セタール」と、インドの古典楽器であるヴィーナの長所を取り入れて開発した楽器といわれている。

さてヴィーナのルーツとなると、これはかなり古代にさかのぼって神話的な時代にその典拠を見ることになる。

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ヴィーナを作ったのはマハーデ−ヴァとも呼ばれているヨーギの主、シヴァ神であるとされている。彼は二つのカボチャをくりぬいて竹竿にくくり付け、そこに動物の腸で作った弦を張って楽器を作った。これがヴィーナの始まりと言われている。

北インドの楽器でルードラ・ヴィーナという楽器がある。ルードラというのはシヴァの別名で、この楽器は神話のヴィーナに似て、二つのカボチャに竹を渡した形になっている。
音は低く重厚で、ドゥルパットという様式で演奏される。

さてシヴァの妻パールヴァティは、彼の楽器を見て自分も楽器を作りたいと思い、もう一つのヴィーナを作った。これは後にサラスヴァティーが手にした姿で描かれるようになったのでサラスヴァティー・ヴィーナと呼ばれている、僕が持っているのもこのタイプだ。

一応区分としてはルードラ・ヴィーナはシヴァ、男性の楽器で、サラスヴァティ・ヴィーナは女性の楽器ということになっている、声域もサラスヴァティー・ヴィーナの方が高い。しかし、これは楽器の区分であって、奏者の性別を限定するものではない。

確かにルードラ・ヴィーナは巨大なので、女性には演奏し辛いと思われるが、サラスヴァティー・ヴィーナの方は男女どちらでも演奏可能だ、なのでサラスヴァティー・ヴィーナの演奏家は女性だけでなく、男性も多い。

だが実際には、昔のインドではヴィーナというのは弦楽器一般を指していたようで、スワルマンダルというインドハープやラバーブのような擦弦楽器もヴィーナと呼ばれていたらしい。

ヴィーナが今の形になったのは17世紀に入ってからで、タンジャ・ヴール(現タミル・ナードゥ州)でその原型が作られたと言われている。ここでは後に南インド音楽の3楽聖と呼ばれるティアガラージャ、シャーマ・シャストリー、ムットゥスワミ・ディクシタールらが活躍し、南インド音楽の発展に大きな貢献をした。

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左は有名な3楽聖の絵だが、向かって左のディクシタールの持っているのがヴィーナである。よく見るとフレットも付いていて現代のヴィーナとほぼ同じ形状をしている。あとの二人が持っているのは声楽の伴奏楽器であるタンブーラだ。
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by yuniwauta | 2005-02-12 01:49 | ヴィーナ

ヴィーナ VEENA  ビーナ!!!

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ヴィーナ......

日本ではまだあまり知られていない、南インドの弦楽器だ。
インド楽器といえばシタールが有名だが、このヴィーナはその原型にあたる。
またこれが遠く日本まで伝わってきて「琵琶」になったとも言われている。

僕自身はこの楽器は始めてからまだ一年ばかり、インドに行って先生についた訳でもなく、ただ独学でCDと自分の感性を頼りに日々この楽器と対峙している。

そもそもの出会いは、15〜6年前、ふとしたきっかけで手にした「瞑想瞑楽 法悦のヴィーナ」というCDからだった。この頃は「法悦」とか「悦楽」とか「歓喜」とかこういう語句に弱く、この手のタイトルのものは本でもCDでもよく手にしたものだった。

はじめてこのCDを聞いた時、今までに聞いた音楽にはない、ある種の衝撃を受けた。
弦楽器であることは分かるが、歌っているような、話しているような...しかも聞いていると部屋中にお香の煙が棚引いて、時間感覚がグーッと引き延ばされるような感じすらした。
6畳一間のアパートが、まるで神像立ち並ぶ伽藍のような気分になって、よくお風呂上がりにロウソクを灯して、このアルバムを聴いたものだ。

「いつかこの楽器を弾いてみたい」と思ってはいたが、当時は民族音楽自体の情報が少なく、今のようにネットも無かったのでどうしようもなかった。けれど心の奥のどこかに、いつもこの楽器の音が鳴り響いていたのは間違いない。

そうして去年になってようやく、ふと思い出してネットで検索し始めたのが始まりになって、話せない英語を付け焼き刃で勉強し直しながら、個人輸入で2台のヴィーナを手に入れることができた。写真は2台目のヴィーナ、一本の丸太をくりぬいて作られた「エーカンダン・ヴィーナ」という作りのものだ。

ところが、それからが困った。シタールのプレーヤーは日本にもたくさんいるが、このヴィーナとなるとほとんど皆無である。シタール・プレーヤーの方のページを見て、多少参考にさせて頂いたりしたが、インドという国は音楽の発展において北インド音楽(ヒンドゥスターニ)と南インド音楽(カルナティック)という二つの大きな流れがあり、それぞれ理論的な面や使用する楽器などに違いがある。

ちなみにシタールは北インドの楽器、ヴィーナは南インドの楽器である。

そこで、考えたあげく、こうしてブログに掲載することで、何らかの情報集めができないか?という事になった。ブログの内容はGOOGLE等の検索にも引っかかるし、今は数少ないヴィーナプレーヤーの方々と、何らかの交流ができないかと考えたのだ。

僕なりに、今現在で分かった内容を、少しづつここに掲載していきたいと思っている。

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もし、このページを見て下さった方の中で、ヴィーナに関して詳しい情報をお持ちの方がいたら、是非お知らせ頂きたいと思います。また、ここに記載した内容に誤りがあった場合、報告していただければ随時訂正していきますので、よろしくお願いします。
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by yuniwauta | 2005-02-11 22:13 | ヴィーナ

ゆにわ主宰          歌島のひとりごと 


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