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ゆにわのうたひ

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『人体の不思議展』について思う事

実は以前からこの件について書きたかったのですが、批判的な文章でもありちょっと迷っていました。しかし、常に心に引っかかっている事でもあり、今もまだ島根で開催中であるこの展示に対して、やはり黙ってはいられないものがあり、書かせて頂きます。
あくまで、僕自身が感じた一個人の意見と、それに付随した関連リンクを紹介しますので、興味のある方はご覧下さい。

この展示、随分前から話題になっていた事もあって、先月早速行ってきました。
プラストミックという手法で遺体に防腐処理を施した展示の数々。
体に関わる仕事をしていますし、触診と解剖学のイラストやMRI像などでしか見る事のできない内部構造を直接見れる機会でもあるので、充分にそれを堪能しようと思って入りました。

ところが、皮膚を剥がされて骨格筋がむき出しの状態で展示される体たちを見てゆくにつれ、その期待感は急速に薄れていきました。一応『生前に本人が了承して献体されたもの』との但し書きはあったものの、どうしても拭いきれない疑問が次々に湧いてきました。

それは、リンク先でも指摘されていましたが、学術的意義を持つ展示と題されながらも、遺体たちの状況があまりにも酷い事です。
ポーズをとらせる為に無理に腕を伸ばしたりしたために筋肉が引きちぎられていたり、解剖学的にどういう意味があってこの断面で切断する必要があるのか疑問に思うようなものも幾つもありました。
輪切り標本などは確かにMRIの実体版のような感じですから、医学標本としての価値は確かにあります。が、時折、まるで野良猫が喰い散らかしたようなめちゃくちゃな分断をされた標本もあったりしました。少なくとも医学標本という名目なら、ある程度その筋の知識がある人が標本作りに携わっていると思うのですが......
要するに純粋に医学標本としてのそれではなく、エンターテイメントとして見た目にビックリするような演出をされた『死体展示』という印象を強く持ちました。

実際、毎日人の体に触れていて思います。
人間の体は生きて動いて呼吸しています。如何に体が精巧なユニットとして活動し、その命という活動そのものが如何に神秘的か、語り尽くせません。生きた体に感じる事のできる幾つもの波打つエネルギーや輝き、筋肉ひとつをとっても、あのようにプラスチックで固められたビーフジャーキーのようなものではありません。もっともっと美しく繊細です。
そんな中、この動かない『止まったままの死体』は、果たして命の大切さや不思議さを訴えるものだったのか?と問われたら......少なくとも、僕にはこの展示からはそれは全く感じられませんでした。

もう一つの疑問は『この献体をされた方は、果たして死後このような死体の扱いをされて、衆目にさらされるという事を本当に理解した上で献体をしたのか?』という単純な疑問です。
しかも、先にも言ったように死体の扱いが随分ずさんでした、そこには医学の為に献体されたという方々への敬意というか、死者に対する弔いの気持ちのようなものが一切感じられませんでした。
これはプラスチック標本ではなく、かつて生き、笑い、心を通わせた人間の死体であるのですから、そういう背景も含めて、こういう標本というものを大切に扱うのは当然だと思うのですが....

一人一人の表情を見るにつけ、この人は生前どんな人だったんだろう?と思いきや、もう一つの疑問が湧いてきました。
それは、このように明らかに健康で若く体格のいい方々の遺体を、どうやって入手したのか?という事。
自然死した訳でもなさそうだし、死刑囚だろうか?など、いろいろと憶測されましたが、帰って調べてみると、実はいろいろな所で物議をかもしているそうです。

『人体の不思議展に疑問をもつ会』
http://sky.geocities.jp/jbpsg355/
『特集「人体展と中国の人体闇市場」』
(ここは非常に詳しい人体展に関する情報が集めてあるサイトですが、リンク先には若干ショッキングな画像や内容が含まれていますので、ご注意下さい。)
http://redfox2667.blog111.fc2.com/blog-entry-100.html

しかしこれらもひとつの情報に過ぎませんので、どこまでが本当か、結局のところは分かりません。

もちろん、色々な物を見て、個人がどう感じるかはそれぞれの自由だと思いますが、現在開催中の島根県でも、島根県保険医協会、島根県民主医療機関連合会などが開催中止を求める文書を提出しており、当初後援に回っていた日本医学会・日本赤十字社・日本看護協会・日本医師会・日本歯科医師会などは既に展示に問題ありとの判断で後援を取りやめており、さらに、世界各地でこの死体展示が死体の入手経路等に問題があるとして禁止されつつあるという事実を、あえてここで強調しておきます。

それにしても、島根の展示、4万人突破だそうですね。
巨額の利益を生むこのビジネスですが、もの言わぬ遺体はその恩恵を一銭たりとも受け取れないというのも、また解せないのです。
by yuniwauta | 2009-09-21 03:03 | 雑記帳

ゆにわ主宰          歌島のひとりごと 


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