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ゆにわのうたひ

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生琵琶を聞いた!

昨日、ふとしたきっかけで誘われて、松江に琵琶を聞きに行きました。
平山万佐子さんという眠水流の薩摩琵琶奏者の方です。
朗読とのコラボで、続・耳無し芳一など小泉八雲に関係するお話もありました。

自分が少しかじっているヴィーナは、この琵琶の親戚というか祖先なんです。
インドのヴィーナがシルクロードを渡って日本に入り、日本独自の発展を遂げて今に至っています。

お恥ずかしながら僕自身の琵琶に関する知識は皆無に等しく、せいぜい武満徹さんの「ノヴェンバー・ステップス」の衝撃から鶴田錦史さんの琵琶をCDで聞いたという程度で、生演奏は今回はじめてでした。

琵琶のビヨ〜ンという音色、この音のビヨ〜ン成分を作り出しているのは「さわり」と呼ばれる部位で、弦と微妙な角度で接している象牙の部分に弾かれた弦が触れてビビった音なんですね。
元のヴィーナにも同じ部分があって、ここは「ジャワリ」と言います。
何だか似てますね。

さて、本編の演奏の方ですが....
ちょっとびびりました。
琵琶の音が鳴り始めたな〜という内は、何ともなかったんですが、やおら「祇園精舎の〜〜〜〜.....」と語りが入ってくるとこれはもう容赦ない世界。
全身全霊をこめて繰り出される無念の叫び...
平家一門の無念と恨みつらみを飲み込んだ音絵巻が現出します。

普段ヒーラーをしている視点から見れば「怨念なんて持ってると体に悪いですよ〜」なんて思ってしまって興ざめですが.....
聞きながら自分の体を観察していると、恨みの籠った声が上がる度、足下の方から肝毒の混じった血がグワッと湧き上がってくるし、弦をバチでバツーン!と弾く度に、まるで刀で斬られていくような感覚...
座って聞いていて、いつもは痛くない肝臓が痛くなってきたり....
ああ、決して体にいい音楽ではないな〜(笑)と思ってしまいました。

が、しかし何故だか聞き終えたあとは妙な壮快感があって、帰りの車中でも妻と盛り上がる盛り上がる。
いいコンサートを見たあとはいつもこんなです。
ってことは、やっぱ良かったんだなと.....

日本の伝統音楽には、こういう霊的な世界の話、怨念とか多いですね。
わざわざ人の恨みつらみ話なんて聞きたくないと思うのが普通だと思うんですけど、何故、こういうものが生まれ、そして時代を越えて歌い継がれてきたんでしょうか?

僕なりに、こう考えてみました。
日本人はNOが言えず、感情も抑え気味であるために体内に多くの感情エネルギーを溜め込んでいるようです。
今でこそそれなりに解放されつつあるとはいえ、旧日本の社会ではこれがもっと抑え込まれていたに違いありません。
感情が行き場なく鬱積してくると、これは怨念になります。

こういう状況下で村社会から逸脱したいわば「社会的なしがらみのない」盲僧達が、このような怨念の表現を公衆の面前でやる、聴衆はこの盲僧の姿と語りに自分の内にある怨念の姿を見たのではないでしょうか。
そして自分の内の泣くに泣けない語るに語れない思いと、討ち死にしてゆく平家の無念とが重なり、物語と共にさめざめと泣き、こうした感情を昇華していたのではないでしょうか?

つまり、これは当時の一種のヒーリング・ミュージックだったという事ですね。

生琵琶をまだ一度も聞いた事がないという方、是非一度体験してみて下さい。
何か目覚めるものが、あるかもしれない.....
by yuniwauta | 2005-04-18 02:07 | おとだま紀行

ゆにわ主宰          歌島のひとりごと 


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