おのみちこみち(2)
尾道といって、僕がまず思い出すのはこのフェリーだ。
尾道水道の僅かな距離を毎日行ったり来たりするこのフェリーは、島に暮らすものにとっては重要な足だったりする。
確か9時くらいには終わってしまうので、子供時分にそれ以上夜遊びをしたときなど、ずっと先にある尾道大橋まで長い坂を自転車をこいで行かねばならず、「フェリーの就業時間=門限」に近い印象があった。
中学3年の頃、親の仕事の都合で向島から福山に引っ越すことになったが、僕にとって尾道は離れがたく、往復2時間以上もかけて電車を乗り継ぎ、このフェリーを使って中学校に通った時期もある。
ほぼ自転車で満杯になったフェリーが岸につき、鉄製のはしけがバーンと開くか開かないかのうちに、自転車をこぐ学生たちがまるでイナゴの軍団のように一斉に岸へと駆け上がる。
ここは大林監督の「さびしんぼう」の中のシーンにも出て来るが、僕が物心ついた頃から、この風景はちっとも変わっていない。
by yuniwauta
| 2005-09-18 17:43
| 尾道残照