太陽の音
あれは今から12年ほど前の事、
僕はその頃、学芸大学近くのCDの卸倉庫でアルバイトをしていた。
時給は安かったが、当時はバブル全盛期で、各メーカー売れ線以外の音源もどんどんCD
化して発売していたし、どんどん売れていた。
だから倉庫には毎日いろんなCDが入ってくる、結局働いても給料のほとんどを、またここで使い果たしていた。
そんなある日、メーカーから大口の新譜の入荷があった。
大型のトラックで、数万枚のCDが運ばれてくる。
暑い夏の日で、半分裸状態で何百箱の段ボールを運び込んだ。
終わると皆へとへとで、しばらく休憩。
こんなのは毎日繰り返されている、ごくありふれた日常に過ぎない。
ただ、その日は違っていた。
何の気なしに、荷物を滑らせるローラーに腰掛けて空を見ていた。
雲一つない日本晴れ、太陽は真上に輝いている。
すると突然、耳慣れない音が鳴り響いてきた。
「ん?」
はじめは単なる耳の錯覚かと思った。
疲れているし、ここ数日あまり寝ていないからボーッとしているのかも。
そう思って、気を取り直し、もう一度太陽の方を見た。
「ポカ....ポ..カ....ポカ...ポ....カ.....」
違う、やはり明らかに音が鳴っている。活字にするのは難しいが、あえて活字にするならやはり「ポカ....ポ...カ...ポカ.....」としか言いようのない音だった。
「昔から太陽が出てポカポカ〜なんて言うが、やっぱりポカポカって聞こえてたんだろうか?」
「ちょっと待て、これはヤバいんじゃないか?.......太陽が歌ってる?.........『未知との遭遇』じゃあるまいし.....」
「いや、やっぱり寝てないからだ。聞こえてなんかいない.......いや、やっぱ聞こえる....。」
あまりに突然のことに半ば頭が混乱しながら、それでも数分間、音が続いた。
ようやく気を取り直して、隣にいた友達に「太陽がポカポカ言ってる........」と声をかけたが、その時にはもう全く音は聞こえなかった。
あれから、一度も、太陽がポカポカ歌うのは聞いた事がない。
僕はその頃、学芸大学近くのCDの卸倉庫でアルバイトをしていた。
時給は安かったが、当時はバブル全盛期で、各メーカー売れ線以外の音源もどんどんCD
化して発売していたし、どんどん売れていた。
だから倉庫には毎日いろんなCDが入ってくる、結局働いても給料のほとんどを、またここで使い果たしていた。
そんなある日、メーカーから大口の新譜の入荷があった。
大型のトラックで、数万枚のCDが運ばれてくる。
暑い夏の日で、半分裸状態で何百箱の段ボールを運び込んだ。
終わると皆へとへとで、しばらく休憩。
こんなのは毎日繰り返されている、ごくありふれた日常に過ぎない。
ただ、その日は違っていた。
何の気なしに、荷物を滑らせるローラーに腰掛けて空を見ていた。
雲一つない日本晴れ、太陽は真上に輝いている。
すると突然、耳慣れない音が鳴り響いてきた。
「ん?」
はじめは単なる耳の錯覚かと思った。
疲れているし、ここ数日あまり寝ていないからボーッとしているのかも。
そう思って、気を取り直し、もう一度太陽の方を見た。
「ポカ....ポ..カ....ポカ...ポ....カ.....」
違う、やはり明らかに音が鳴っている。活字にするのは難しいが、あえて活字にするならやはり「ポカ....ポ...カ...ポカ.....」としか言いようのない音だった。
「昔から太陽が出てポカポカ〜なんて言うが、やっぱりポカポカって聞こえてたんだろうか?」
「ちょっと待て、これはヤバいんじゃないか?.......太陽が歌ってる?.........『未知との遭遇』じゃあるまいし.....」
「いや、やっぱり寝てないからだ。聞こえてなんかいない.......いや、やっぱ聞こえる....。」
あまりに突然のことに半ば頭が混乱しながら、それでも数分間、音が続いた。
ようやく気を取り直して、隣にいた友達に「太陽がポカポカ言ってる........」と声をかけたが、その時にはもう全く音は聞こえなかった。
あれから、一度も、太陽がポカポカ歌うのは聞いた事がない。
by yuniwauta
| 2005-02-05 21:55
| おとだま紀行