人気ブログランキング |

ゆにわのうたひ

yuniwa.exblog.jp ブログトップ

金色のクラスメイト

ある研究者の談によれば、子供というのは7歳前後までは「夢の世界の住人」で、現実と夢との境界線が曖昧なのだそうだ。なので、何か周囲の刺激によって自分の中で想像した世界に没入して、完全にその世界の主人公として生きる事ができるのだ。

誰しも子供の頃に、「説明不可能な現象」に出会った記憶をいくつかは持っているのではないだろうか?

それらの事柄に様々な注釈をつけて、理論的に説明することもできるかもしれないが、こうした事に限って自分の体験として逆に現実よりも鮮やかに記憶されていることもある。

こんな事があった。

僕が小学校の確か2年生の頃、その頃学級委員をしていた事もあって、風邪等で学校を休んだ子がいると、見舞いがてら給食のパンと一緒にプリントなどを届けに、クラスメイトの家を訪ねたりすることがよくあった。何分小さな島のこと、だいたい誰の家がどの辺にあるか。自然に覚えていたものだ。

ある日、一人の女の子が学校を休んだ。その子は転校してきて間がなかったが、おとなしい子で、まだ話らしい話をしたことはなかったように思う。随分と熱が高いとのことで、いつものようにパンとプリントを持って、帰り道にその子の家に向かった。

その子の引っ越してきたところは新興住宅地で、前はだんだん畑だったところに2〜3ヶ月前から何軒かの家が建ち始めた中にあった。行けば表札で、その子の家が知れるだろうと思っていた。

その住宅地に向かって太い道路を曲がり、その一角にさしかかった時、何故かそこにあるはずの住宅はなく、真っ白いトレーラーハウスのような家が10戸ばかり、円を描くように止まっていた。

住宅はできて間がなかったこともあって、イメージがはっきりしていなかったので、ここはこういう所なんだなあと、さして違和感も感じずにその子の名字を探した。そして、一軒のトレーラーハウスにその表札を見つけ、ベルを鳴らした。

「は〜い」

そう言って彼女のお母さんと思しき人が家から出てきたが、瞳の色が異常にうすい茶色で、髪の毛も茶色、服も茶色、おまけに肌の色がおしろいを塗ったように白い。

少し妙な感じはしたが、別段気にするでもなく「給食のパンとプリントを届けに来ました」と言って、それを手渡した。すると、隣の家のドアが開いて、お隣の奥さんが出て来た、しかしお隣の奥さんは、髪の毛が緑色で、瞳が金色に光っていた。

気付くとあちこちの家から、誰彼となく人が出て来たのだが、皆髪の毛が紫色だったり黄色だったりしていて、何となく霧の中をふわりと漂うように、半ばうつろに歩いていた。

そんな周りの事はお母さんは全く気にかけない様子で、
「うちの子を呼んでくるから、ちょっと待ってて」と言って、家の中に消えた。

そしてしばらくして出て来たのは、例のクラスメイトの女の子....によく似ていたが、その子は髪の毛も、瞳も、服も、肌の色も皆、金色に光っていた。

「ありがとう、これお母さんがお礼にって...」

そういって、小さな黄色い仁丹のようなお菓子をくれた。

「早く元気になって、学校に来てね」

そう言って彼女の家を後にして、自分の家に帰った。

家に帰っている途中、ふと手の中の仁丹を見たが、それはこの辺りでは見かけないお菓子だった。食べてみるとものすごく酸っぱい味がした。

そうこうしている内に正気に戻ってきて、さっき自分が見たものが尋常なものではなかった事に今更ながら気付き、怖くなって一目散に家へと走った。

翌日、その子は学校に来たが、体は当然、普通の女の子だった。
帰り道にその子の家にもう一度行ってみたが、そこには白いトレーラーハウスなどどこにもなくて、ただの新興住宅地で、新築の家が何軒か建っているだけだった。

それからも何度かそこを通るたびに確かめてみたが、あの白いトレーラーハウスと不思議な住人の姿はどこにも見当たらない。

例の彼女にもその事について一度聞いてみようと思っていたのだが、何となく怖くて聞けないで二の足を踏んでいる間に、その子は転校して行ってしまった。
by yuniwauta | 2005-02-07 18:51 | 幽玄閑話

ゆにわ主宰          歌島のひとりごと 


by yuniwauta
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30