人気ブログランキング |

ゆにわのうたひ

yuniwa.exblog.jp ブログトップ

2005年 02月 19日 ( 2 )

豆腐屋のおじいちゃん

2年前までは東京の高尾にいた。
高尾山の近くで冬は猛烈に寒かったが、なかなか良い所で好きだった。
家の裏の方に白山神社があって、よく笛や太鼓を叩きに奥の宮への長い階段を上ったものだ。

高尾山は標高はさして高くないのに、かなり高地にしかない高山植物や鳥たちがいる不思議な所で、リフト終業後に山道を降りて行くと頭の上を何度もムササビが飛び交っていたりして楽しいところだった。

高尾の名物はいろいろあるが「するさし」という豆腐屋さんが有名だ。
近くに友達が住んでいたのでここの豆腐もよく食べたが、特にできたての寄せ豆腐は旨かった。しかし生憎この豆腐屋さんは高尾でも裏のほうでちょっと遠かった、当時は自転車しかなかったので、山道を豆腐を買うためだけに上がってくるのはちょっとしんどかったのだ。

そんな豆腐の洗礼を受けて「旨い豆腐」にアンテナを立てていると、ふと駅の近くにも小さな豆腐屋さんがあるのに気付いた。
看板も出ていないしただの民家のようだったので見過ごしていたけど、一応店っぽいし、ビニールに入った豆腐とあつあげが幾つか置いてある。

中には小さいおじいさんが一人、豆腐作りの道具の奥のほうにちょこんと座っている。
歳は80は越えているように見えた。
店の中はテレビやラジオもついていない。
シーンとして寝ているのか起きているのか分からないが
とりあえず「豆腐下さい」というと
すっくと立ち上がって 「はいよ。」 とくれる。

店先には多分お孫さんが書いたであろう可愛い文字で
「おとうふ ○○円   あつあげ ○○円」
と書いた画用紙が貼付けてある。
画用紙にはチューリップやカラフルな花の絵が書いてあるが、
それが他に色らしい色のない店先に妙に浮いているのがおかしい。

そんなかわゆい画用紙の横から現れたおじいさんは別段話もしないし、愛想もない。
実にそっけないのだ。

だが、その豆腐、ものすごく美味しい!!!
豆乳成分が多いのか味わいがとってもクリーミーで、ちょっと醤油をかけるだけでバクバク食べれてしまう。豆腐自体もしっかりしていて型くずれしない。
薬味で茗荷とショウガを刻んだものに醤油をちょっとたらして食べるのがお気に入りだった。

この豆腐、店が家から近いので我が家の食卓にはしょっちゅう登場した。
お昼ご飯代わりに豆腐一丁なんてこともしばしばあった。

聞くとおじいさんは朝2時から仕込みに入り、一人で豆腐を作っているらしい。
日曜と水曜は休み(当時)、あとは毎日営業。
その日に作った分が全部売れたら終わりで、数が限られているし人気があるので朝のうちに売り切れてしまう事もある。
でも、時々夕方まで豆腐が残っていることもある。
そんな日も、おじいさんはずーっと店の奥にいて最後の一個が売れるまでお客さんを待っている。
そうして、最後の一個がなくなると、静かに裏から出てきて店の前のシャッターを降ろす。

毎日、この繰り返しだ。

発展も有名になる事も望まず、ひたすら自分の仕事をこなしていく。
おじいさんの態度は淡々としている。
しかし豆腐に深い愛情がこもっているのは食べてみると分かる。
誰しも、一口食べるとにっこりしてしまうのだから......

当時もそれなりに高齢だったので、今頃お元気だろうかと時々思う。
いつかまた高尾に寄った時、店の奥からあの小さなおじいさんが出てきて
「はいよ」と豆腐を渡してくれるのを密かに夢見ている。


*このお豆腐屋さんは、高尾駅北口を出て直進、ファミリーマートを越えて横断歩道を渡ってから、国道20号線を高尾山方面に歩いていく途中にあります。駅から徒歩2〜3分。
近くの方、是非一度食べてみて下さい。
by yuniwauta | 2005-02-19 20:51 | 雑記帳

劇団「あしぶえ」との出会い

c0037400_041442.jpgひょんなご縁から、劇団「あしぶえ」の「彦市ばなし」に少しだけ音で参加させて頂くことになった。

始まりは、かれこれ10年以上の付き合いになる「イエローマン・グループ」の面々と共に、即興ミュージシャンとして昨年11月に開かれた「第2回八雲村国際演劇祭」に参加させて頂いた事。

これもイエローマン・グループのリーダー絹川友梨さんと、あしぶえの代表園山土筆さんの7年前の出会いにまでさかのぼることができるのだが、縁とは奇しきものだ。
回り回って、この日本で始めての公設民営の劇場を持つ、創立40周年にさしかかろうという老舗の劇団の活動に僕のようなものが参加させて頂けることになったのだ。

しかし「あしぶえ」の歩みを読ませて頂いたが、これはとても一言では語れない。
小さなアマチュアの劇団が立派な自分達のシアターを持つまでに成長し、世界中で公演活動を展開しながら海外からも劇団を招いて「国際演劇祭」まで開いている。
文章で書けば簡単だが、こんなことそうそう出来る事ではない。
そんな凄い事をやってのけているのに劇団員の方も土筆さんも、皆さん謙虚でひょうひょうとしている。
昨日が始めての顔合わせだったのにとても温かく迎えて下さり、久方の酒も相まって心が和んだ。

昨日はいろいろなお話をさせてもらったのだけれど、中でも土筆さんの
「とにかくいいものを作るという事を念頭に、みんなが納得いくまで時間をかけてひとつの作品を作っていく」
という言葉に静かな感動を覚えた。
そこには今までに積み上げてきた確かな実績と、土筆さんのひたむきな想いがこめられているように感じたからだ。

僕が今までに参加させて頂いた舞台関係の仕事は、割合一回性のものが多かった。
新しい台本で、新しい演出、本番までに充分な打ち合わせもないまま舞台が開け、口惜しい想いをしたことも多々ある。しかし、それらはほとんどが一度きりの舞台で、失敗をバネにもう一度練り上げていくという作業ができることは全くといっていいほどなかった。
役者、スタッフ、演出家が皆で意見を出し合いながら、時には今まで作ってきた構想を打ち壊しながらでも「良い作品」を作るためにひとつの作品にエネルギーを注いでいく....

まるで木を育てるような作業だ.....と思った。

以前から好きだった役者で山本安英さんという方がいる。
山本さんはもう亡くなってしまったけれど「夕鶴」という作品の中の「つう」の役を生涯通じて1000回以上も演じ続けた人だ。
同じ台詞、同じ脚本でも、深く深く掘り下げて演じ続けていく。
当たり前のようで、これは実に当たり前でない。c0037400_091485.jpg
こんな風にじっくりと作品と向き合うような作業に参加してみたいというのが、僕の夢のひとつでもあった。
まさかこうして見ず知らずの土地に来て、こんな奇しき縁に出会えるなんて!
今も僕の心の中で、喜び勇んだジェリーがバック転を繰り返している(笑)

出雲に越してから、この「ゆっくり育てる」というのが自分のテーマになりつつあった。
そんな折、こんなすてきな先輩達に出会えて僕は本当に幸運です。

劇団あしぶえのHP→劇団あしぶえ
by yuniwauta | 2005-02-19 00:08 | 雑記帳

ゆにわ主宰          歌島のひとりごと 


by yuniwauta
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー